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千葉卓三郎の功績「五日市憲法」の価値広めたい 小説「反骨」CD制作

昨年11月に開催した朗読会がCD制作につながった

昨年11月に開催した朗読会がCD制作につながった

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 羽村を拠点に「五日市憲法草案」の起草者・千葉卓三郎の「推し活」に取り組む「タクロン・チーバー普及協会」(TEL 090-6547-2291)が1月10日、小説「反骨」(書籍名は「民の旗-五日市憲法誕生」で発刊)の朗読CDの販売を始めた。

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 1881(明治14)年に書き上げられた民間の憲法私案の一つ「五日市憲法草案」の起草に奔走した千葉卓三郎や深沢名生(なおまる)、権八父子らの姿を描いた同書。卓三郎の功績、五日市憲法の価値を広めたいと朗読CDを制作したという。

 五日市憲法草案は1968(昭和43)年、五日市町の深沢家の土蔵で見つかった。204条から成り、言論や思想の自由、人民の政治参加、義務教育を受ける権利を盛り込むなど現行の憲法に通じる、当時としては先進的な憲法案とされる。2013(平成25)年、美智子上皇后(当時は皇后)がその素晴らしさに言及し、注目された。

 仙台藩下級藩士の家に生まれた卓三郎は戊辰(ぼしん)戦争白河口の戦いに参戦。敗戦を味わい、真理を求めて皇学、仏教、キリスト教などを学んだ。中でもギリシャ正教に傾倒。上京して洗礼を受け、布教活動に携わった。1879年(明治12)年ごろから秋川周辺の各所で教職に従事した。

 五日市勧能学校に勤めると、深沢父子ら新しい知識、思想を求める五日市の人たちに受け入れられた。学芸講談会の活動を通じて地域の自由民権運動にも影響を与え、五日市憲法草案起草へと結実させていく。

 「反骨」は卓三郎を中心に近代日本の黎明(れいめい)期に生き、新しい日本の形成に熱い情熱を注いだ当時の五日市の人々の姿を描いた岡村繁雄さんの作品。同協会は昨年11月、羽村市内で「反骨」の朗読会を開いた。同協会代表の羽村幸子さんが小説の要所を抜粋し、解説も加筆。読み手は声優の塩田知佳さんが務めた。

 小説が絶版となっていることから、著者の同意を得て全編をCD化した。羽村さんは「卓三郎を学べば学ぶほど素晴らしい人だと思う。より多くの人に知らせたい」と話す。

 価格は1,000円。売り上げは普及活動に役立てるという。

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