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卑弥呼について新たな仮設を織り込んだ書籍、日の出町の崎元さんが出版

「書紀にほのめくヒミコの系譜」を出版した崎元さん

「書紀にほのめくヒミコの系譜」を出版した崎元さん

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 日の出町在住の崎元正教さん(64)がこのほど、「書紀にほのめくヒミコの系譜」(けやき出版)を出版した。

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 謎が多いとされる古代史研究の分野で、神社伝承などの資料を丹念に尋ねて検証を続けている崎元さん。同書には、卑弥呼や邪馬台国(やまたいこく)についての大胆な仮説や新説が織り込まれており、前作の「ヤマトタケるに秘められた古代史」同様、研究者、愛好家らの研究に波紋を投げ掛けそうだ。

 崎元さんは、「日本書紀」の紙背に卑弥呼の系譜がひそかに書き込まれていることに気づく。「書紀」の神功皇后の巻には「魏志倭人伝(わじんでん)」が3度引用され、史家の間では「書紀」は卑弥呼を神功皇后と誤解したとする説もある。崎元さんは「神功皇后と誤解されるような引用は、書紀の編者の苦心の潤色」と推測。「何度も読み返すと、卑弥呼について多くのメッセージが埋め込まれていることに気づいた」という。

 そのメッセージから導き出したのが、卑弥呼の父母はスサノオと豊玉姫で、夫がニニギ(大己貴)、子がイワレヒコ(神武)という皇祖神の系譜だった。鳥取県や宮崎県を中心に約1万に及ぶ神社伝承や考古資料を調べ、その検証結果を同書にまとめた。

 崎元さんは神戸大大学院工学研究科を卒業後、日立製作所に就職。27年前に故原田常冶の著作「古代日本正史」を読み古代史への興味を持った。退職後は古代史研究に専念。2005年に「ヤマトタケるに秘められた古代史」を出版した。「ヤマトタケるはたけうちのすくね(たけうちのすくねに)の若き姿」などの仮説は歴史愛好家の間で大きな反響を呼び、中村啓信國學院大名誉教授や森浩一同志社大名誉教授、渡辺利夫拓殖大総長らから温かい激励の手紙を受け取った。第9回日本自費出版文化賞研究・評論部門で入選も果たした。

 崎元さんは「日本書紀は脚色されていても真実を伝えている。そこに気づくことが大切。『書紀の編者からみんなに分かるように語ってくれ』と言われているような気がして、今回の執筆の原動力になった。今後は神武を中心にした大和朝廷の建国史についての研究をまとめたい」と話している。

 体裁はA5判並製346ページで、価格は2,100円。全国書店で販売中。

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