青梅法人会源泉部会が主催する西多摩市民講座が1月16日、プリモホールゆとろぎ(羽村市緑ケ丘)小ホールで開催され、IHI航空・宇宙・防衛事業領域ロケット開発事業推進部長の三原礼さんが「ロケットエンジンを開発するということ」をテーマに宇宙事業について語った。
三原さんは、国際宇宙ステーション補給機「こうのとり」、小惑星探査機の「はやぶさ」の帰還カプセルなどの話なども交え、ロケットエンジンのメカニズムなどを解説。高い性能性と運用性、コスト低減に挑んできたロケット開発の現場を紹介。「ロケットの打ち上げというと華やかなイメージだが、ロケットエンジンの製造と言っても特別なものではなく、部品を一つ一つ丁寧に作ることの積み重ね。やっていることはものづくりと同じ。考え抜いても答えが出ない神様の領域と言ってもいいものがある」と開発者の心境を明かした。
会場では宇宙やロケットに興味を抱く高校生から大人まで230人ほどが熱心に耳を傾けた。昨年4月から青梅市に移転している日本航空大学校からも、トータルモビリティ工学科学科長の松尾史朗さんの引率で20人の学生が参加した。
松尾さんは「講演はIHIのことやロケット技術、エンジニア人生と多岐にわたり、最後は神の領域にまで及ぶ大変内容の濃いものだった。学生たちは、スーパーエンジニアになるということ、ものの仕組みや動きを『なぜかな』という目でしっかり考えることを学んだようだった」と振り返る。
当日一番乗りで会場を訪れた女性は「夫がIHIに勤務していて、今は遠くに単身赴任している。夫に会うような気持ちで早く来てしまった。IHI瑞穂工場に勤務し、河辺に住んでいた宇宙飛行士の野口聡一さんのこともよく知っている。きょうは来て良かった」と話していた。
講演に先立ち、源泉部会長は「青梅法人会はよき経営者を目指す者の団体で2700社が参加している。会員をはじめ市民を対象に定期的に開く市民講座は、講師にさまざまな分野で活躍する人を招き、未来を担う子どもたちの夢や地域発展につながる話を披露してもらっている」とあいさつした。
橋本弘山羽村市長は「羽村市とIHIがある瑞穂町はものづくりのまちで、素晴らしい会社がたくさんある。いつの時代でもロケットが平和に利用されることを希望する」と呼びかけた。