檜原村で幻の収材法「ズマ」再現 むかしごと研究会の講習会で

「ズマ」の様子

「ズマ」の様子

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 檜原村笹野の馬場山林内で5月、むかしごと研究会による「幻のわざ〈ズマ〉」の講習会が行われた。同地区の田中林業で50年以上活躍し、2007年の「森の名手・名人100人」に選ばれた野村康夫さん(88)が講師を務めた。

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 「ズマ」は檜原で昭和30年代まで盛んに行われた炭焼きの原木などを集める手法の一つ。急傾斜地で雑木などを伐採、玉切りした後、直径40センチ前後に束ねた木材をさらに連結させ、目的の場所まで人力で滑り落としていくもの。大学生から中高年までの参加者15人は、年齢を感じさせない野村さんの軽やかな動きと、エンジンなどの動力が無かった時代の知恵と技に見入った。

 野村さんは、「これをやっていたころは朝6時に山に行って伐採から始め、『ズマ』で炭焼き1回分の材料を11時までに1人で集めるのが仕事だった。まだ17、18歳だった」などと経験談を織り交ぜながら作業を解説した。

 同会は林業現場で培われた技と文化を次世代につなぐことを目的とし、講座や講習を不定期で開催したり、文章や映像に残す活動をしたりしている。府中から参加した、大学で森づくり関連のサークルに所属しているという学生は「薪炭材に関する昔の仕事の資料はほとんど無く、こうした仕事を実際に見られるのはとても貴重」と話していた。

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