中学生が将来の夢や社会への提案などを発表する第43回中学生の主張東京都大会(東京都主催)が9月12日、都庁で開かれた。あきる野市立増戸中学校3年の奥山朋佳さんが最高の知事賞に次ぐ東京都教育委員会賞を受賞した。
都大会には5932点の応募作文があり、当日は事前選考を通過した10人がそれぞれの思いを訴えた。奥山さんは『未来へつなぐ』と題し発表した。
奥山さんは母親と一緒に都心に行ったとき、太平洋戦争の末期、大空襲で赤坂、青山の大半が焦土と化したと書かれた慰霊塔を目にした。その後、中学生新聞で、防毒マスクを付け手におもちゃの鉄砲と日本の旗を持った子どもの写真を見た。他にも米軍に降参する少女や原爆ドームの前身の産業奨励館で夕涼みをする家族の写真などがあった。
いずれも白黒写真をAI技術でカラーにしており、奥山さんはより身近なものに感じられ、「幸せな日常に無理やり入り込み、ためらいもなく破壊してしまうのが戦争なのだと改めて思った」と同時に、その時まで「戦争はむごくて、二度と繰り返してはならないと思うだけで、自分から戦争について知ろうとしてこなかったことに気付いた」という。
そのことを母親に話すと、曽祖父が戦地に行って運よく復員したが、心に大きな傷を負っていたことを聞かされた。曽祖父は奥山さんが生まれる前に亡くなっており写真でしか知らなかったが、「曽祖父があの時代を一生懸命生きてくれたから、私まで命が続いていることを知った。戦争は他人ごとでも、どこか遠い別世界のことでもなく、今を生きる私へとつながっていたのだ。今度は私が未来へつなげる番だ」との思いに至ったとし、「戦争について自分の考えや思いを持ち、いつか平和の大切さを自分なりの方法で未来へ伝えられる人になりたい」との決意を披露した。
奥山さんは昨年も同大会で優良賞を取った。「2年続けて自分の考えを多くの人の前で発表できうれしかった。その上、賞まで頂けて励みになった」と喜びを話した。