染工房シゲタ(檜原村人里)が監修した草木染めの実用書「草木で染める和の絵柄と模様」(スタジオタッククリエイティブ)が12月13日、発売された。植物から染料を作る方法や色落ちを防ぐ媒染の仕方、型染め、絞り染めの技法、染めた布でコースターやタペストリーを作る手順などを、写真をふんだんに使い紹介している。
「シゲタ」は繁田泰治さん(70)、あきのさん(67)が夫婦で営む染工房。伝統的な染めの手法を用いつつ、モダンでおしゃれなデザインの作品を制作する。あきる野市の糸屋ギャラリーで15年続ける手染めTシャツ展、干支(えと)や植物の図柄で型染めするポストカードは特に支持されている。
泰治さんは静岡市の染物屋に生まれ、親の仕事ぶりを見ながら育った。あきのさんは美術学校在学中に染色を知り、卒業後も好きで続けてきた。夫妻が染色に携わって50年近くになる。転機は2000年。2人は、より良い制作環境を求め、福生市から檜原村に工房を移した。それと同時に化学染料の使用をやめ、草木染めと薬品を使わない顔料での染色に切り替えた。
新著で紹介する草木染めの手法は「誰に習ったわけでなく、本を見たり染料屋さんに聞いたりしながら探ってきたやり方」とあきのさん。「出版社から声を掛けてもらい、自分たちの仕事を紹介するような本ができたことはすごくうれしい」と話す。
泰治さんは檜原での制作が20年目に入った今、「まだ試してみたいこと、作ってみたいものがある」と言い、「檜原で見てきたものは古いもの、都会と比べて劣るものではなく、むしろモノづくりのヒントになるものが多かった」と感じている。2人の憧れは、90代半ばでなお精力的に制作する染色家の柚木沙弥郎さん。昨年夏、柚木さんの展示を目にし、「技術に執着しない自由な発想に広がりを感じた」。2人も「そうありたい」と言う。
仕様はB5判カラー176ページ。価格は2,500円(税別)。