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奥多摩町氷川でホタル乱舞 台風で全滅した「ほたるの里づくり」結実

夕闇が迫る登計橋周辺。やがてホタルの乱舞が始まる

夕闇が迫る登計橋周辺。やがてホタルの乱舞が始まる

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 奥多摩町氷川の多摩川に架かる登計橋周辺に現在、多くのホタルが現れている。7月7日には100匹を超えるゲンジボタルが乱舞した。

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 同橋の側で会計事務所を営む石田芳英さんは昨年7月、氷川で民話の宿「荒澤屋」を営む荒澤弘さんから宿泊客から聞いた話として、ホタルが出現していることを知った。早速現地に行くと黄緑色に明滅する幻想的な光景に出合った。

 「ピーク時には150匹ぐらいいた。昨年から急に現れたというわけではなく、その前から数は少ないが出ていたと思う」と振り返る。

 奥多摩に生まれ育った石田さんだが、周辺の多摩川でホタルを見たことはなかった。ホタルがなぜ現れたのか。石田さんには心当たりがあった。石田さんは20年ほど前から石田家が所有する槐木(さいかちぎ)林道下のあし沢で「ほたるの里」づくりを進め、沢にホタルの幼虫と餌になるカワニナを放流してきた。だが、2007(平成19)年の台風9号で全て流されてしまう。

 それでも2年後に、人と自然の共生をテーマに「フォレストパス森の会議」を立ち上げ、会長となり、「ほたるの里」に一層の情熱を傾けてきた。2013(平成25)年にはホタルの繁殖を確認。活動は順調に進んだが、2019年の台風19号の大雨で再び全滅した。

 「ここで放流、繁殖したホタルが生き残り、流されて日原川と多摩川が合流するもみ合わせの地で生き残り、数を増やしたのでは」と推察する。

 石田さんが「ほたるの里」づくりに取り組んでいた頃、登計原地区でもホタルの放流が行われていたという事実もある。

 石田さんは7月初旬、父親の光正さんの49日と母親の恭子さんの1周忌を迎えた。「両親も夢見たほたるの里だったので、蛍火に何か因縁を感じる。人と自然との共生をこれからも考え、進めていきたい」と話す。

 ホタルは今月中旬ごろまで見られるという。

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