
31年前に津軽海峡の単独横断遠泳に女性で初めて成功した尾迫千恵子さんが6月16日、自身が10年余り前から水泳指導に携わる檜原小学校(檜原村本宿)を訪れ、「遠泳人生」をテーマに講演を行った。
元同村職員で、遠泳選手の傍ら長く尾迫さんのコーチを務めてきた宇田快さんが、尾迫さんの体験を聞かせたいと講演会が実現。同校1年生~6年生の57人が参加した。
尾迫さんはピアノ講師の傍ら、30歳を過ぎて遠泳を始めた。函館に住んでいたこともあり、津軽海峡への思い入れがあり、1987(昭和62)年から数回にわたって横断遠泳に挑戦している。
1994(平成6)年8月6日、対岸の青森県中泊町から12時間28分かけて福島町松浦に泳ぎ着き、津軽海峡の単独横断に成功した。距離は直線で27キロ、潮の流れを迂回(うかい)すると50キロになった。
尾迫さんは、監督やスタッフ、伴走船の船員、公的機関の許可など多くの人の協力があって実現できたことに感謝した上で、潮流の激しさ、体温の低下などを乗り越えゴールした体験を披露。「諦めないことが大切」と児童に呼びかけた。
尾迫さんは現在、中泊町のPR大使を務め、津軽海峡交流大使の宇田さんと遠泳の普及や遠泳を通した町の活性化に協力している。
講演会の最後に、宇田さんは「森は海の恋人」の言葉を児童と共に繰り返し、「この言葉を檜原村に住む人として忘れないで」と呼びかけた。