あきる野市の森田家住宅(同市小川)が7月、文化庁より国の登録有形文化財に登録された。同市では初となる。
森田家は名主を務め、江戸の幕末期には酒造も手掛けた。現在の当主である浩一さんで17代目となる。
今回、登録されたのは主屋、見世倉、前の蔵、味噌蔵、西蔵、旧米蔵、御看経堂、門、板塀の9物件。主屋は睦み橋通りに面した敷地の中央に建ち、正面中央に構える唐破風造の式台玄関は、妻面に二重虹梁を組む本格的な形式。内部は柱や差物に良材を使った重厚な軸部を構成し、床などの座敷飾も洗練されている。
敷地正面の見世蔵は1階西よりを板敷の店とし、道路側に揚戸を立てて開口部とする店舗機能を備えた土蔵。持仏堂である御看経堂は土蔵造平屋建で、内部は手前が三畳の拝所、後方を仏壇構えとして虹梁を架け、私邸に残る近世の持仏堂として貴重とされた。また旧米蔵は現在、懐石・ギャラリー「燈々庵」として使用されている。
西多摩ではほかにも福生市の田村酒造場(福生市福生)が今回、登録された。