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日の出町新井地区で「豆太鼓」を手作り 平和・幸福、深まる願い

新井豆太鼓保存会の皆さん

新井豆太鼓保存会の皆さん

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 日の出町大久野の新井地区では今年も縁起物の豆太鼓を作り、新年を迎える。10月から新井豆太鼓保存会の会員らが作業場に集まり、132本を全て手作りで仕上げた。12月23日に神事を行い、福を呼ぶ豆太鼓は大みそかまでに自治会の希望者のほか、公的機関、地元企業などに配布する。

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 豆太鼓作りは1929(昭和4)年ごろまで行われていたが、戦争で中断。戦後もそのままになっていた。有志の手で新井地区に復活して30年余りになる。

 昔ながらの作業には大きな苦労がある。竹を削って柄を作り、ヒゴを編んで風車を作る手の込んだもので、太鼓は和紙を貼り、のりを混ぜた赤いポスターカラーで塗装する。作業前には山へシノタケの伐採に出かけ、太鼓枠の紙筒の切断などを行う。

 赤い太鼓の表には越沼正好会長が干支(えと)の辰(たつ)の絵を一つ一つ手描きした。鉛筆で下書きし、白いポスターカラーで辰のうろこまで丁寧に仕上げると、手描き時間は30時間を超した。絵を担当して21年目のベテランも大変だった。裏には柁原亜希子さんの書で、平和、幸福、絆、安泰、隆盛など、誰もが望む一年の願い事が書かれた。

 豆太鼓の柄の長さは40センチほど。太鼓は直径13センチ、厚さ2.5センチ、大豆を両側に垂らし、回すと勢いよく太鼓に当たりポン、ポンと軽快な音がする。昔は子どもの遊び道具だったが、「まめに働く」などの意味から商売繁盛を願う縁起物として各地に伝わった。

 作業に当たった会員は20人。この10年余りで他界した会員も数人いるが、次の世代も加わっている。越沼会長は「今年は羽の色をより明るくしたり、平和と幸福の字の入ったものを増やしたりした。世界では紛争が続いているが、早く収束し、豆太鼓の願いのように明るい世界、地域社会になってほしい」と話す。

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