払沢(ほっさわ)の滝(檜原村)が最大結氷する最初の日を当てる「氷瀑(ひょうばく)クイズ」を現在、檜原村観光協会が行っている。1987(昭和62)年に始まり37回の歴史を刻む同村の冬の風物詩になっている。
払沢の滝は北秋川の支流にあり、高さ60メートルで、4段の滝は日本の滝百選に名を連ねる。寒さがピークを迎える1月~2月に結氷し、自然の造形美を見せる。
30年を超えて続く同クイズだが、12年前、主催してきた地元有志から成る「小さな冬物語実行委員会」が解散した際、存続の危機を迎えた。同村観光協会が協力して新たな実行委員会を立ち上げたが、すぐに方向性は定まらなかった。それでも旧実行委員会メンバーの跡継ぎらがイベントを担い、続けることができた。
初開催の際には結氷状況の確認作業が最大の問題になった。毎朝20分ほどの遊歩道を歩き、滝に行くのは苦労が伴った。確認役を引き受けたのが、むらおこしに取り組んでいた故下地龍二郎さんだった。
クイズを発表すると新聞各紙が掲載。瞬く間に知れ渡り、テレビの取材も入った。同時に冬の檜原村が観光客でにぎわう初めての年となった。翌年、実行委員会が組織され、回を重ねてきた。
氷点下7度以下の日が2、3日続く、滝の水量が少ない、雪や雨が降らない――。そんな条件がそろうと、高さ約60メートルの滝が全面結氷する。だが、皮肉にもクイズが始まって以来、滝が100%氷で覆われる年はなかなか来なかった。毎年、全国から7000通ほどの応募があったが、クイズの当選者は出ないまま。地球温暖化の象徴と指摘する声も出た。
初の当選者が出たのは1996(平成8)年。全面結氷のニュースはマスコミが大きく取り上げ、村の幹線道路は見物の車で大渋滞になった。1998(平成10)年、クイズは「全面結氷」から「最大結氷日」を当てる形に変わった。その後、全面結氷したのは2006(平成18)年だけだった。
クイズは1月5日~2月20日の期間内に最初に最大結氷した日を当てるもの。正解者には同村の特産品などを賞品として贈る。応募方法はウェブサイトで確認できる。締め切りは12月31日(当日消印有効)。専用応募はがきは同協会や村内各所に設置している。
昨年村長になり、初めて払沢の滝冬まつりに臨む吉本昂二村長は「クイズに参加してもらい、冬の檜原村に是非足を運んでほしい」と呼びかける。
併せて、フォトコンテストも実施。期間内に払沢の滝付近(払沢の滝~払沢の滝入口バス停)で撮影された作品が対象。インスタグラムで応募を受け付ける。