自主映画の製作団体「瑞穂映像企画部」を主宰する役者の橋龍さんが現在、青梅市の木野下地域を舞台とした映画製作へ向けクラウドファンディングで協力を呼びかけている。
岡山県出身の橋龍さんは大阪の日本写真映像専門学校を卒業後、仲間と共に21歳で上京。アルバイトをしながらも舞台や映画、テレビ、CMなどで役者として精力的に活動し、仲間と劇団も旗揚げした。結婚を機に妻の実家がある瑞穂町に移住し、2019年6月、同企画部を設立。地元瑞穂町や西多摩を舞台に一本の短編映画「ストレスフルスイング」を製作したところ、作品が全国各地の映画祭で受賞した。
「これで売れる」と考えていた矢先、コロナ禍で決まりかけていた仕事もなくなり、長年勤めていたバイト先も休業となった。「鳴かず飛ばずどころではなく、どん底の人生が始まった思い、もう役者はやめようと考えた」と橋龍さんは当時を振り返る。
家族を養っていくため、人生で初となる青梅市内の企業に就職。営業で青梅の街を歩く中、古い映画仕立ての看板が掲げられている商店街の「おうめシネマ」という拠点に出合った。「ここで上映会をしたい」と考えた橋龍さんは、同拠点を運営する久保田哲さんの協力を得て「第1回橋龍映画祭」を開催。多くの来場者でにぎわう中、映画制作への思いが再燃し始めた。映画祭を通じ青梅で活動するさまざまな人と出会う中、青梅に魅了され、再び映画製作を決意。青梅市民にとって思い出が詰まった駅前開発で取り壊されるビルや、老舗の喫茶店を中心に短編映画「鳥も死にきれないよ」を製作した。
今回のクラウドファンディングで映画製作の舞台となるのは、青梅市内の田園風景が広がる木野下地域。そこで「木野下田んぼを愛する会」が行っている野外上映企画「せせらぎシアター」での上映に向け声をかけられたのがきっかけ。「豊かな田園地帯を守っていこうとする木野下の人たちが熱く、魅力的で。この人たちと木野下を舞台にした映画が撮りたい」と決意。地域の人たちの協力を得て、橋龍さんにとって映画製作をする上では初となるクラウドファンディングで協力を呼びかける。
目標金額は100万円。リターンは5,000円から用意する。6月30日まで。