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大和王権確立で大胆な仮説や新説 日の出町の古代史研究家が出版

3作目の新刊を持つ崎元さん

3作目の新刊を持つ崎元さん

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 日の出町在住の崎元正教さんが9月、「日本書紀と神社が語る天皇誕生史」(歴研)を出版した。

 崎元さんは謎が多いとされる古代史研究の分野で、書紀を主体に神社伝承などの資料を丹念に調べて天皇誕生史や日本建国史を復元、その復元案の検証を続けている。

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 同書には、皇祖神出現の辺りから天皇家誕生に至る歴史や初期天皇家がいかにして大和王権を確立していったかについて、大胆な仮説や新説を織り込む。前々作「ヤマトタケるに秘められた古代史」、前作「書紀にほのめくヒミコの系譜」同様、「研究者、愛好家らの研究に波紋を投げ掛ける書」だという。

 崎元さんによれば、「書紀(720年撰上)は大国唐(618~907年)との対等外交用に作成された史書だったため中国用に漢文で書かれており、日本の歴史に箔(はく)を付けるため初代神武天皇の即位を800年以上も引き延ばしている」という。

 その引き延ばしの作為が暴かれないよう、「中国に名前の知られていない人物についてはそれなりに史実を取り込みつつ、中国に名の知れたヒミコについては厚いベールに包むしかなかった」とも。

 「書紀は正史としての役割も果たすべく、将来の復元を期してあちこちにメッセージを埋め込んだり、書き得ない部分は神社や風土記の伝承に託したりと、四苦八苦の編さんの日々だったようだ。そのかいあってか、あちらの人にはその虚構点は見破られずに済んだことはいいが、まさか日本人が1300年もの間、第16代仁徳天皇以前の歴史は創作として捨て去るとは夢にも思わなかったに違いない」と指摘。

 「令和2年は書紀編纂から1300年の記念すべき年。7世紀末から8世紀初頭の数年間、血と汗にまみれて正史の編纂にあけくれた書紀編者たちを草葉の陰でいつまでも泣かせていてはいけないと思う」と話している。

 崎元さんは神戸大大学院工学研究科を卒業後、日立製作所に就職。数十年前に故原田常冶の著作「古代日本正史」を読み古代史への興味を持った。退職後は古代史研究に専念。「ヤマトタケるは武内宿禰(たけうちのすくね)の若き姿」などの仮説は歴史愛好家の間で大きな反響を呼び、中村啓信国学院大名誉教授や故森浩一同志社大名誉教授、渡辺利夫前拓殖大総長らから温かい激励の手紙を受け取った。第9回日本自費出版文化賞研究・評論部門で入選も果たした。

 A5判並製446ページで、価格は3,300円。全国書店やWEBなどで販売中。