フランスの製法で作るチーズ工房「フロマージュ・デュ・テロワール」(青梅市友田)が昨年、「ジャパンチーズアワード2018」の「ソフト酸凝固(山羊乳以外)部門」で金賞を受賞した。
社長の鶴見和子さんは「チーズが好き」という思い一つで、国内での輸入チーズ販売店を退社後、単身フランスへ渡った。言葉の壁、お金の問題にぶつかりながらも暗中模索を続け、チーズを作る専門校へ、2度の渡仏で4校に通った。フランスのチーズ専門校では、授業の半分の時間は農家や企業へ行き、実際のチーズ製造に携わる。鶴見さんはヤギチーズを造る工房へ行くこととなったが、1人で全ての工程、販売までを行うこととなり、朝から晩まで一心不乱にチーズ作りに向き合う日々が続いたという。
卒業後、帰国した後は勤め先として全国の工房を探すが条件に合わず断念。「じゃあ、自分でやろう」と一念発起し、4年前、同工房を開業した。食材仕入れや冷房設備の問題、殺菌工程などフランスとの製造の違いなどに直面しながらも、フランスの製法にこだわり試行錯誤してきた。「3年間くらい、全く落ち着かなかった」と笑顔で振り返る。
やがてチーズの製造工程で出る副産物や余ったチーズの活用に着目し、新商品を続々と開発。東京牛乳用の生乳や地元酒蔵の酒粕など地元食材を活用し、今までにない味わいのチーズを生み出した。現在では通年販売のもの、季節限定のものを合わせ約18種のチーズを製造する。
今回、受賞した「ドーム」(1個100グラム1,296円)は、チーズを作る工程で出るクリームを加え製造したもの。乾燥熟成であるため表皮は固めで、中はしっとりとした食感で、白ワインやシャンパーニュとの相性もいいという。そのほか、フロアマージュ・ドーメ(1個150グラム~180グラム、1,620円)、グロン・トーメ(同180グラム~200グラム、1,944円)などが人気だという。
鶴見さんは「チーズ大国のフランスでは、年間1人平均25キロ食べるのに比べ、チーズの人気が高まった今でも日本では年間平均2キロ程度。もっとチーズの魅力を多くの人に知ってほしい」と話す。現在は地元のフランス料理店とコラボした加工商品の開発にも取り組んでいる。
営業は水曜・金曜・日曜の13時~17時。