青梅の津雲邸(青梅市住江町)で現在、明治維新に活躍した俊傑らの書・手紙・遺品などを展示する「幕末維新展」が開かれている。
近藤勇の借用書やブーツをはいた坂本龍馬の画像など約30点を、当時の佐幕、勤皇、中間派など茶室、応接室、大広間などに分けて展示。展示品の中には、同展を訪れた学識専門家の間に貴重な歴史資料も含まれるとする見方もある。
津雲邸は西多摩が生んだ政治家、津雲國利(1893~1972)の邸宅で、昭和初期に流行した和洋折衷の名建築。展示品は津雲國利の戦前の所蔵品で、孫の津雲薫さん(66)が管理。青梅市の活性化の一助になればと同邸を開放するとともに、膨大な所蔵品の一部を随時、特別展示する。
借用書には、新撰組局長、近藤勇が大阪の豪商「加嶋屋」の樋口重郎兵衛から200両を借り、来辰3月に返済する旨が記されている。近藤の刑死により返済はかなわなかったが、その後、野津道貫侯爵などの手を経て1934(昭和9)年、津雲國利が譲り受けたことなどを記した箱書きも展示。親交のあった勇の養子・勇五郎から譲り受けた幼少時の勇が使った木刀なども展示している。津雲薫さんは「祖父は近藤勇や勇五郎さんの生き方に三多摩人として相通じるものを感じていたのでは」と津雲國利の蒐集の動機について語る。
2階にはブーツをはいた坂本龍馬画像が武市半平太、中岡慎太郎の肖像画と三幅対で見られる。応接室には木戸孝允(桂小五郎)の版籍奉還の計画書、久坂玄瑞が西郷隆盛に宛てた書簡、三条実美の和歌、伊藤博文の漢詩、廊下には幕末の三舟と言われた勝海舟、鉄舟、泥舟らの掛け軸、茶室には徳 川慶喜公晩年の「月可悦」書などを展示している。
開館は金曜・土曜・日曜・祝日の10時~16時。入館料は、大人=500円、小中学生=200円。7月20日まで。