2013年に福生市に寄贈された古民家「旧田村家住宅」(福生市福生)が2月11日・14日・15日の3日間、特別公開された。
昨年12月に国登録指定文化財に登録されたことを受け企画されたもの。田村家は1902(明治35)年、田村酒造を営む田村家の分家で、明治時代は旧福生郵便局の局長の住宅だった。建物は江戸時代以来の伝統に近代的な要素を加えたもので、明治期の様子を伝えている。2年前に3代目の所有者が他界。調査を行った結果、文化財的価値が認められたことから親族が建物を寄贈し、土地は市が取得した。
「国登録指定文化財」は、建造物の希少性に加え将来的な損失も考慮し、無くなる前に保護することを目的にしている。登録されたのは母屋と2棟の土蔵。主屋は木造平屋建て。間取りは正面に向かい右側に土間がある六間取り。周囲を廊下が巡り、風呂場や手洗いが建物内に設置され、収納スペースも多く機能的な造りとなっている。
西土蔵は1904(明治37)年、東土蔵は明治44年に建てられた。西土蔵には結婚式などに使う器具類や道具類などが収められ、東土蔵は旧福生郵便局の開設後に建てられたもので、郵便局で使われた道具類や書類などが収納されていた。
収納されていた膳やわん、おひなさまも公開され、昭和初期の宿場通り周辺を描いた窪田成司さんの絵巻物も展示された。宿橋通りは福生村の目抜き通りで、旅館、銀行、飲食店などが並び、田村家も通り沿いにあった。旧郵便局は現在、教会となっている。
次回の一般公開の予定は未定で、市は今後の活用法などを検討している。