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「民の旗-五日市憲法誕生」出版-日本の黎明期に生きた五日市の群像描く

「民の旗-五日市憲法誕生」

「民の旗-五日市憲法誕生」

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 五日市憲法草案の起草に奔走した千葉卓三郎や深沢名生(なおまる)、権八父子らの姿を描いた「民の旗-五日市憲法誕生」(岡村繁雄著)がこのほど、出版された。

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 仙台藩下級藩士の家に生まれた卓三郎は戊辰(ぼしん)戦争白河口の戦いに参戦。敗戦を味わい、真理を求めて皇学、仏教、キリスト教などを学んでいく。中でもギリシャ正教に傾倒。上京して洗礼を受け、布教活動にも携わった。明治12(1879)年ごろから秋川谷の各地で教職に従事した。

 五日市勧能学校に勤めてからは、深沢父子ら新しい知識、思想を求める五日市の民衆に受け入れられた。学芸講談会の活動を通じて地域の自由民権運動の質を高め、五日市憲法草案起草へと結実させていく。

 同書では卓三郎を中心に近代日本の黎明(れいめい)期に生き、新しい日本の形成に熱い情熱を投じた当時の五日市の人々の姿を描いている。主な登場人物は卓三郎と深沢父子のほか、学芸講談会の発起人会メンバーの土屋勘兵衛、馬場勘左衛門、内山安兵衛、八王子でカトリックの布教に励む山上卓樹ら。

 著者の岡村さんは業界紙や「戦略経営者」(TKC)の記者を経て、「プレジデント」などのビジネス誌に執筆するジャーナリスト。郷土史にも目を向け、著作に「草莽の譜・五日市憲法とその周辺」「透谷の風景・八王子川口村幻境」(いずれもかたくら書店)などがある。

 同書は、1996年に「反骨-千葉卓三郎」のタイトルで西の風新聞に連載したものを加筆・修正したもの。岡村さんは「昨年、皇后さまが『19世紀の日本で、市井の人々の間にすでに育った民権意識を記録するもの。世界でも珍しい文化遺産』と称賛され、五日市憲法に脚光が当たった。起草から130年、真に価値あるものは長い歳月にさらされても色あせない」と話す。

 変形新書版100ページ。価格は800円(税別)。出版はかたくら書店(八王子市、TEL042-636-3331)。八王子市内のくまざわ書店や有隣堂などで扱う。

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