
青梅市天ヶ瀬町の鎮守、八坂神社社殿を南側にずらし移設新築する地鎮祭が3月27日に行われた。神社、自治会役員と工事関係者ら30人が出席し、工事の安全を祈願した。
同神社代表役員で住吉神社(住江町)の梅宮貴史宮司がおはらいを行い、神社責任役員の原嶋和利さん、並木茂さん、天ヶ瀬町自治会会長の遠藤敏博さん、建設委員会委員長の山下裕さんらが玉串をささげた。
都市計画道路青梅3・4・4号線街路整備事業で道路が神社敷地を通過するため、社殿の移設が余儀なくされた。新社殿は今秋の竣工を予定する。
同整備事業は同市新町から同市日向和田3丁目に至る延長約10キロの道路。通称「千ヶ瀬バイパス」と呼ばれ、同市滝ノ上町地区まで完成している。
滝ノ上町地区から天ヶ瀬地区を通り、日向和田に達する1.3キロ区間は2005年までに事業認可された。神社役員らと東京都との間で用地買収や物件移転補償などの協議が2022年にスタート。交渉を重ね、合意に至った。
移設新築に向けては神社役員と同自治会の会長ら役員が検討協議を重ね、昨年2月に住民参加の臨時総会を開き、山下さんを委員長とする建設委員会設置を承認。再建事業計画、予算案をまとめ、住民の理解をもらい、11月に寄付金の呼びかけを始めた。
同神社の創建年代などは不詳だが、古くから牛頭天王社と称し地域住民の崇敬を集めてきた。1868(明治元)年の神社法の公布により京都の祇園社が八坂神社と改称したのに伴い、同じく八坂神社に改めたという。
祭神は須佐之男命(スサノウノミコト)で、菅原道真公も相殿(あいどの)されている。疫病退散、病気平癒のご利益があるとされ、地域住民はもとより、かつては神社前を青梅街道が通っていたことから行き交う人々の信仰を集めてきた。
神社は奉賛会、自治会などにより守られ、元旦祭や5月2日の祭礼などを行い、地域のコミュニティーを守っている。原嶋さんは「代々の先輩の方々が守り、つないできた神社をなくすわけにはいかないと、若い世代を含めみんなが協力し、再建に進み出した」と安堵(あんど)の表情を浮かべる。
戦後間もなくは祭礼で村歌舞伎が上演されていたことなどを記憶にとどめる並木さんは「祖母に『お参りすれば長生きする』と言われ、毎朝暗いうちにお参りしていた。父親は参集殿の建設にも関わらせてもらい、2代続けて寄進に携わることができてうれしい」と話した。