青梅信用金庫本店そばで、長年「たまちゃんのカツ丼」で親しまれた店が「食事処桃ノ木」（青梅市勝沼）としてリニューアルオープンして間もなく3カ月が経つ。引き継いだカツ丼とオリジナルの「桃ちゃんの煮込みハンバーグ」が常連客に受け入れられた。

　「たまちゃん」は長年、のれんを守ってきた店主の「おばあちゃん」の愛称。昼も夜も常連の声が絶えなかった。そんな店の新しい主人は、元会社員で客として店に度々足を運んでいた小出桃子さん。

　たまちゃんに見込まれ、「店をやらない？」と何度も声を掛けられた。一昨年暮れに腹を決めた。独自の味を教わるなど1年かけて引き継ぎの準備をした。昨年内に店を畳み、引き渡したいと不動産店への手続きが済んだ矢先、昨年12月2日、元気だったたまちゃんが突然帰らぬ人になった。悲しみに暮れる暇もなく、身が引き締まる思いで、1月に店舗を改装。2月3日に白字の桃ノ木が浮かび上がる赤いのれんをかけた。

　6坪ほどの昭和レトロな店内はカウンター席とテーブル席2卓。2階の座敷は大人数の利用時に使う。黒札に書かれた定食メニューのほか、白板にはその日の「お薦め」をかわいい文字で書いている。昼夜を問わず、日本酒、焼酎、生ビールを用意する。

　甘めのだし汁を卵で閉じ、カツとご飯に絡むカツ丼と肉汁を閉じ込めたソースで煮込んだハンバーグのほか、とんかつ、サバの塩焼き、しょうが焼きなどの定食（900円）には、ご飯、みそ汁、小鉢が付く。

　金曜はたまちゃんの時から続く「カレーの日」。誰の口にも合うカレーライスを600円で提供する。手作り水ギョーザやハムカツ、焼き鳥も「お薦め」だという。小出さんの12歳の長女が作るスコーンを土産に買う客も多い。