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昭島の高校生らが清掃活動 「ごみ拾いで地域に恩返し」

未来守の代表を務める二ノ宮さん(写真中央)

未来守の代表を務める二ノ宮さん(写真中央)

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 高校生だけのボランティア団体「未来守(みらいもり)」は9月17日、昭島市内で20回目の清掃活動を行った。

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 当日は高校生や市民ら30人が参加。同市福島町の広福寺を出発し、班に分かれて多摩川方面、青梅線方面などを約2時間にわたり、ごみ拾いをして歩いた。拾い集めたごみは1枚30リットルのゴミ袋10袋分に上った。「マスクとタバコの吸い殻が多かった」「茂みの中にゴミが隠されていた」などの声が聞かれたほか、初めて参加したという高校生は「友達とどっちが多く、ごみを拾えるかをゲーム感覚で楽しめた」と目を細めた。

 未来守の中心に立つのは、昭島市在住の高校2年生、二ノ宮リム虹さんと宇佐原嘉晃さん。二ノ宮さんの「生まれ育った昭島のために何かしたい」の声がきっかけとなり、2021年4月、中学時代の同級生ら8人で未来守を発足した。清掃活動のほか、小中学生に学習の場を提供する無料塾などに取り組んでいる。

 清掃活動を始めてまもなく、ごみがなかなか減らない実情に直面した。どうすればごみがなくなるのか――メンバー同士で話し合いを続け、「市民一人一人の意識が変わらないと、ごみは減らない」と、まずは街のゴミの現状を周知することにした。

 二ノ宮さんらは落ちているゴミをスマートフォンで撮影し、ごみが多いポイントを地図アプリ上にメモした。いつどこに何が捨てられているかを分析し、SNSで発信を続けた。そうすることで地域の人に未来守の存在が広まっていった。

 同市玉川町に住む70代女性は、これまで2回清掃活動に参加。「地域のためにごみ拾いなんて、簡単にできることではない。私も行動したいと思った」と参加の理由を話す。広福寺の白川住職は「活動の拠点を探していると聞いて、敷地の貸し出しを二つ返事で引き受けた。友達同士で楽しそうに活動している様子がほほ笑ましい」と未来守を応援する。

 地域の人から助言を受け、6月にごみ削減のための陳情を市議会に提出。5件の陳情は全て本会議で採択され、市議会は陳状の内容実現に向けて検討を進めている。

 7月には同市の複合施設アキシマエンシスで、海洋ごみ問題の解決に向けて行動するニューヨークの小学生を追ったドキュメンタリー「マイクロプラスチックストーリー~僕らが作る2050年~」の自主上映会を開催。映画は課題解決に向けて行動を促す内容。上映会には100人ほどが参加し、上映後は参加者同士でごみ削減の行動宣言を行い、映画で得た気づきと学びをシェアした。

 二ノ宮さんは「未来守の活動を通して地域にいい影響を与えていきたい。仲間と意見が衝突することもあるが、それも楽しさの一つ。みんなで楽しみながら、ごみ削減に向けて挑戦し続ける」と話す。

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