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青梅の玉堂美術館で「夏の思い出」開催-小澤館長、晩年の玉堂語る

玉堂との思い出を語る小澤館長

玉堂との思い出を語る小澤館長

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 玉堂美術館(青梅市御岳、TEL0428-78-8335)で6月17日、企画展「夏の思い出」が始まった。「夏川」など多摩川の夏を題材にした絵などを展示する。

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 「夏川」は多摩川の白い砂、透き通った水の流れを描いたもの。1955年ごろに制作された。小澤館長は「玉堂が戦後東京に戻ってしまっていたら決して描けなかった絵」と話す。このほか玉堂が好んで描いていたアユ釣りの絵などを展示する。

 小澤萬里子館長は、病に伏せた祖父玉堂の思い出を次のように述懐する。「昭和32年2月、心臓発作を起こし、自宅で医師の往診を受けながら病臥(びょうが)していた。初めのうちは、再起してまた絵を描きたいと思っているのが察せられたが、6月に入ると実に淡々として、静かな境地に達したように見えた。いよいよ、となったころ、枕頭(ちんとう)には絶筆となった『船出』が立て掛けてあった。

 某日、玉堂は回りの者に『この絵はお世話になったK先生に差し上げたいが、落款がまだだから起こしておくれ』と言い、2、3人で助け起こし落款を入れた所へ、当のK医師が入室され、驚いて『先生、何をなさっているんです。落款?とんでもない。絶対安静ですよ』としかられた。

 玉堂は慌てず騒がず、いつもの笑顔で『ああ落款(楽観)もできないなんて、私もいよいよ終わりだな』と得意のジョーク。多分、そのころは何の未練もなく『あの世へ行っても描くぞ』と楽しみにしていたのではないかとさえ思えた。本当に素晴らしい一生でした」。

 享年84歳。小澤館長も今年84歳を迎えた。「重ね合わせると本当に不思議な思いがする」という。

 開館時間は10時~17時。月曜休館。入館料は、大人=500円、大学生・中学・高校生=400円、小学生=200円。7月21日まで。7月23日~9月9日は「鵜飼」などに作品を入れ替える。玉堂の命日の6月30日に合わせ、28日。29日の来館者には玉堂の絵入り特製うちわを進呈する。

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