自家栽培にこだわるうどん・そば店の初後亭(あきる野市三内字初後)。10月より、期間限定のそばの提供が始まる。
2005年に開店した同店では、店主の清水哲雄さんが自身で生産する小麦とソバで毎朝、その日の分を打って提供する。野菜も地元産のものを使い、通年で提供されるうどんは、シンプルで力強く、もちっとした歯応え。ソムリエの田崎真也さんにも評された。
開店のきっかけは26年ほど前。「地元の農地を何とか残したい」という熱い思いから始まった。地元生産品で料理を提供する同店の開業を目標に、市内で農園を営む義弟の協力を得ながら小麦とソバの輪作に着手。営業していくための1年分の材料の生産確保を目指し、日々研究に没頭し、試行錯誤を繰り返した。
「長い月日」が経過し1年分の材料確保にめどがたったころ、自身での店舗作りに着手。開店までの間の収穫した小麦は乾麺にし「あきる野三里」として直売所などで販売した。ゆでた鍋から直接麺を取って、しょうゆやかつお節で食べる、山梨県や多摩地域に伝わる食べ方「引きずり出しうどん」は同店の名物になる。海外のメディアからも取材を受けた。
限定そばは、「もりそば」(800円)の他、冷たいそば、温かいそば数種がある。
プロに習ったものではなく、かつては地元の家庭で当たり前に食べられていた作り方にこだわる清水さん。若い世代へその技術を伝えることも考えている。「うどん打ちの文化が絶えれば、うどん粉はいらなくなってしまうし、うどん粉がなくなってしまえば、うどん打ちの文化も絶えてしまう。食文化と農業は表裏一体」と話す。
営業時間は11時~16時。火曜定休。限定そばの提供は来年5月中旬までを予定。