秋川渓谷の自然、五日市に伝わる文化や歴史など、五日市の魅力を一つのストーリーで紹介する映画「五日市物語」が完成した。7月30日、秋川キララホールで開幕する「第27回あきる野映画祭」で初めて公開される。
同作品の制作委員長を務めたのは、乙津で視覚デザインの仕事に携高橋敏彦さん(69)。
春、秋の季節を前に駅や街角に張り出されるあきる野市の観光ポスターは高橋さんの手によるもの。独特の文字で墨と顔彩(がんさい)が力強く調和したポスターは、旧五日市町からあきる野市に継がれ27年目を迎えた。
1987(昭和62)年、旧五日市町の観光ポスター、4枚組の「秋川渓谷」が日本観光ポスターコンクールで最高賞の金賞を射止めた。これをきっかけに高橋さんが描くポスターは、翌年から5年連続で日本観光協会のキャンペーン用ポスターに採用された。
1942(昭和17)年、北海道札幌市に生まれた高橋さんは。高校卒業後上京。都内にある桑沢デザイン研究所でグラフィックデザインを学んだ。卒業後は同研究所の講師を務め、広告代理店に勤務した。仕事の撮影でれ、「自然の中で子どもを育てたい。豊かな自然を背景にデザインの仕事をしたい。できればデザイン講座も、こうした環境の中で開ければ」と五日市に現住所に移り住んだ。
「住んで本当に良かったと思ったのは、自然以上に郷土を見つめ、前向きに生きる多くの人たちと知り合えたことだった。その仲間たちと共に、未来につながる町づくりに取り組み始め、あきる野映画祭の前身の五日市映画祭や秋川渓谷自然レース、五日市ヨルイチ、ガレリアきらり市などのイベントに携わってきた。『五日市物語』の製作委員長も、あきる野市の発展につながるのであればだからと引き受けた。五日市のいいところを多くの人に知ってもらいたい。また、千葉卓三郎らが外から五日市に来て、地元の人と交流を持ちながら五日市憲法を生んだ。外の人を風とすれば、地元の人は土で、風と土が五日市で一つ1つになって新しい文化を生んでいく。そのことを映画で伝えたかった」と。高橋さんは話す。