創作和菓子などを作る火打庵(青梅市東青梅、TEL 0428-24-0122)が今夏、試験的に作った青梅産のヤマモモを使ったゼリー、水まんじゅう、パウンドケーキが好評だ。
店主の塚本一雄さん(64)の父親の広司さんが脱サラし、創業60年になる同店。店名の通り本家は鍛冶屋だった。焼きを入れる火で団子を焼いて売っていたものが正業になり、火打ち屋になった。その後、本家はパン製造が主流になり、せっかくの団子が無くなってはと、広司さんが新たに火打庵ののれんを出した。
2代目を継いだ塚本さんだが、若いころは画家を目指していた。美術の道で磨いたセンスは和菓子作りにも、14年前に新しく構えた店舗づくりにも生かされている。
「がちゃ萬」(1個147円)は麦こがしとクルミ入りミルク餡(あん)の素朴な焼き菓子。青梅織物の全盛の昭和を表した郷土菓子だ。「誓いの梅」(1個189円)は 青梅の地名由来でもある「金剛寺の誓いの梅の木」にちなんだ梅入梅酒ゼリー。和菓子はどれも芸術的で、包みにもこだわっている。一方、ブルーベリー大福や大多摩B級グルメにも出品したやきまんじゅうなど、地元に関連した和菓子作りにも力を入れてきた。今回のヤマモモのゼリーなどもその一つ。
ヤマモモは榎戸園(青梅市新町)を営む榎戸英明さん(69)、茂之さん(42)親子が生産したもの。先代の茂助さんが20年余り前にヤマモモの特産地の高知から取り寄せ栽培を始め、数年前からJAの直売センターで販売するようになった。
今では木は60本ほどある。一定の収穫にめどが立ったことから、和菓子の材料として使えないかと榎戸さんが塚本さんに相談。塚本さんは甘酸っぱいヤマモモのエキスを使って色鮮やかなゼリー、水まんじゅう、パウンドケーキを創作した。「今回はあくまで試作だが、お客さんの反応はいい。来年以降、店の看板にしたい」と話している。
営業時間は9時~18時。月曜・第3日曜定休。