JA西東京の小曽木農業者振興会の一行10人が5月11日・12日、東日本大震災の津波で大きな被害を受けた宮城県名取市閖上地区を視察した。
津波被害のすさまじさを目の当たりにする一方、懸命に復興を果たそうとするカーネーション栽培農家を訪れた。同地区は最も津波被害が大きかった地域。津波の後には何も残らなかった。
一行は、青梅市今井に住む矢萩アキ子さんの実弟で閖上地区公民館長の恵美雅信さんの案内で被災地を視察。現在ではさら地と化した風景を眺めながら、実姉が目の前で津波にさらわれ帰らぬ人になった惨状を恵美さんから聞いた。
この後、カーネーション栽培農家の三浦洋悦さんの温室を訪ねた。三浦さんの温室も1メートルの津波をかぶった。幸い鉄骨は残ったが、海水に漬かった土との戦いが復興への第一歩となった。
三浦さんは塩害対策としてバチルス菌を使って土壌改良に挑戦。1年でカーネーションを見事に生育させた。プラチナグリーンなど6種のカーネーションは「母の日」に合わせ出荷されたという。
同会の川鍋芳美会長(81)は「津波被害の大きさには今さらながらがくぜんとした。それでも復興を果たそうとする三浦さんの努力に感動した」と感想を語った。