
日原鍾乳洞がある奥多摩町で10月8日、「第37回日本鍾乳洞サミット」が開催された。日本観光鍾乳洞協会加盟の9自治体首長や運営責任者らが集まり、「オーバーツーリズムの傾向と対策」をテーマに意見を交換した。
サミットには同町のほか、福島県田村市(あぶくま洞)、岩手県岩泉町(龍泉洞)、岐阜県高山市(飛騨大鍾乳洞)、山口県美祢市(秋芳洞)、高知県香美市(龍河洞)、長崎県西海市(七ツ釜鍾乳洞)、熊本県球磨村(球泉洞)、鹿児島県知名町(昇竜洞)が参加した。
参加者一行は会合に先立ち、日原鍾乳洞を視察。関東随一といわれる規模で、荘厳な雰囲気を漂わせる白衣観音をはじめ、巨大なカエルを思わせるガマ岩、「時の彼方に引き込まれそうな」天井知らずなど、幻想的な景観を体感した。
奥多摩文化会館(奥多摩町小丹波)で開いたサミットでは、師岡伸公奥多摩町長が議長を務め、各鍾乳洞による外国人観光客の動向や誘客に向けた取り組みが紹介された。奥多摩町は日原保勝会の黒沢庄悟会長が報告。昨年度日原鍾乳洞を訪れた人が10万3000人余りで、この20年で最も多くなり、外国人観光客も徐々に増えているものの、案内板などで多言語での表記が追いついておらず課題になっていることなどを報告した。
サミットの最後には、「安全で安心な受け入れ態勢の徹底を図りながら、積極的な事業展開を推進していく必要がある」などとした共同宣言を採択した。
師岡町長は「奥多摩町を訪れるのは日本人、在日外国人、そして訪日外国人になる」とし、「ごみ捨てなどルールやマナーの問題 、狭隘道路でのすれ違いなど交通問題、多言語への対応など官民一体となって課題と向き合い町の観光振興を図りたい」と話す。
同町では10年前の町制施行60周年の際に同サミットを開催し、その時は外国人観光客を増やすための方策を協議した。10年がたち、今回は外国人観光客の動向、対応が協議の的になった。